ジャッキラ松(ジッキラ松) 1237M

2023.6.17~18

前日夕方より、裏川の林道へ向かう、裏川取水堰手前2キロほどで車がスタックしてしまった。 去年の大雨で林道は崩壊していたのだ。 その晩は、車中泊にてやり過ごし、朝6時に小荒集落まで、歩いて、猪俣さん宅に電話を借りに行く。 猪俣さんは、三年ほど前に、お世話になった人だ。 なんと御主人は今年の一月に亡くなり、5月から、娘さんに送ってもらい、町の方から山菜採りに来ているそうだ。 どうりで軽トラックがなかったわけだ。 JAFは一時間ほどで到着し、スタック現場へ向かう。

裏川 林道

何とか脱出したのが、9時半。 遅いが出発することにした。 要所口まで荒れた、へつり道を行く。

黒松沢におり、右岸へ上がったところでなにか、黒い犬のような物が向かってくるのがみえた。 よく見ると70kg程の熊であった。 手を叩き、大声を出すと方向転換してどこかへ消えた。 この辺りは、林道も崩壊しているため、熊打ちに人が入っていなく、繁殖しているのだろう。 要所口まで邪魔な雑木を手鋸で刈り、道を整備しながら進む。3時間程で要所口に着く。 休憩し沢靴とスパッツに履き替え渡渉する。 水位は腰下だが、流れは緩く澄んでおり難なく渡渉する。

要所口 左岸より

 水を汲み、焼曽根山へ高度をあげる。焼曽根山三角点到着が14時頃だった。 三角点より、北北西1キロ弱の小峰より、北東へ下って行くと、コビヤタ沢と櫛ノ倉沢出合いの河原に降り立つ、ここは、地図上で4つの沢が出合う場所で穏やかな渓相である。 飛び石の上を歩き、左岸に幕営適地を発見すると、そこにタープを張り、水を汲み夕食を作って食べウイスキーを飲み、早めに寝た。

5時起床の6時出発、ジャッキラ松へ藪の中を高度を上げる。4時間程か、ジャッキラ松へ到達する。 途中、松の根本に何カ所か熊穴を散見した。 ここは飯豊の奥地にふさわしく、烏帽子山、薬師岳、そして尾根の途中からは、大日岳へ突き上げる、矢沢が見えた。 山の中の孤島のような場所であった。

ジャッキラ松はSOTAに載っているポイントである。CQを出すが、QSOなし、誰かの交信は聞こえるのだが……残念だが、早々に下山する。 コビヤタ沢まで三時間半程で降りられた、途中水を切らしてしまったため、喉がカラカラである、沢に着くと水だーと叫びながら補給した。

コビヤタ沢と櫛ノ倉沢出合い付近の美しい河原

焼曽根山北北西にある小峰まで登り返し、休憩していると、なにかパチパチと枝が折れる音が聞こえる。 ザックのスニッカーズを取り出すためにふり返ると、10メートル弱の地点に黒くてデカい熊がこちらを見ていた。私の体重の二倍以上の150キロ以上はありそうな、熊であった。

驚いて大声をだそうとするが、何故か声がでなかった、とっさに手をパンパンと叩くと、驚いたようで方向転換し、藪に消えていった。 笛を取り出し、所々で笛を吹きながら焼曽根山へ向かい、要所口まで降りた。

 ここまでくれば後は、裏川堰堤まで二時間半ほどで辿り着く。 大休憩をし、渡渉しボサの中を歩き何事もなく堰堤に辿り着いた。 林道を30分程歩き、車に到着した。 行動時間12時間24分であった。 阿賀町のカワチ屋さんにて。焼き鳥と寿司を買って腹を満たし、帰路に着いた。